時短料理は食の楽しみを省略しているのでは

料理が好きな立場からの意見であり、言い古されたことかもしれないが、食の楽しさには作る面と食べる面がある(もう少しブレイクダウンすると、材料を育て、採取し、献立とレシピを考え、調理し、食べる、が一連)。これら全てを一人で行うことは現実的ではないが、それにしても最後の食べる部分だけがフォーカスされ過ぎているように感じる。料理は苦痛であるから、なるべく時間をかけないようにとの考えを出発点に、時短レシピが生まれる。効率化は悪い考えではないが、料理の楽しさも同時に損なわれていることに気づくべきだろう。

作る楽しさが完全に失われた食事は、外食だ。多くお金を払えば美味しいものが食べられ、安い店ではそれなりのものが出てくる。意外性はない。又、メニューの選択権も与えられているようで与えられていない。店の都合の定食やコースをただ受け取るだけである。楽しさは人から与えられるものではなく、自分で生み出し、発見するものだろう。